反抗期思春期夫婦の方針子どもの自立

子どもの反抗期、夫婦の対応が割れるのは親自身の10代の記憶が違うからだ

「もっと厳しくしろ」「子どもの気持ちを受け入れよう」——この対立は育て方の差ではなく、ふたりがそれぞれ自分の反抗期をどう経験したかの差から来ていることが多い。

2026-07-24

一人で座り込む若者

子どもが中学生になったあたりから、急に話しかけても返事が短くなった。部屋にこもる時間が増えた。ときどき口調が鋭くなる——「反抗期かな」とふたりが感じたとき、そこからの対応が全くかみ合わないことがある。

「もう少し厳しくした方がいい」「いや、今は子どもの気持ちを受け止める時期だ」——この言い合いは、子どもへの愛情の量の違いでも、教育方針の差でもないことが多い。ふたりが自分自身の10代を、全く違う形で経験してきたことから来ている。

「反抗期がない」という現実が増えている

反抗期は当然あるものだという前提で話すと、実態とずれていることがある。

スタディサプリ進路が2025年に高校生795人と保護者を対象に実施した「反抗期アンケート」では、高校生の33.2%が「自分は反抗期だと思わない」「どちらかというとそう思わない」と回答している。親から見ると「反抗期があった」と感じる割合は約55%、「なかった」は約45%というデータもあり、反抗期の捉え方は子どもと親でもずれていることがわかる。

「うちの子は反抗期がひどい」と感じる家庭もあれば、「ほとんど感じなかった」という家庭もある。また、一般に「第一反抗期」(2〜4歳)と「第二反抗期」(思春期)と言われるが、その現れ方や激しさは子どもによって大きく異なる。「反抗期はこういうものだ」という共通のイメージを持たないまま、対応を話し合うと、前提がずれやすい。

なぜ対応が割れるのか

反抗期の対応で夫婦が割れるとき、よく見られる対立のパターンがある。

一方が「態度が悪いのは許さない、ここは押さえるべき」という立場で、もう一方が「今は距離を置いて待つべき、強く出たら逆効果だ」という立場になる。どちらも子どものことを考えた対応だ。ではなぜかみ合わないのか。

それぞれの立場の背景を見ると、単純な「厳しい・優しい」の違いではないことが多い。「ここは押さえるべき」という側は、関係を断ち切らないためにある程度の規律が必要だと感じている。「距離を置いて待つ」側は、今無理に介入すると子どもが心を閉ざすと感じている。どちらも筋が通っているのに、なぜ平行線になるのか。


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根本にあるのは親自身の記憶だ

夕空に立つひとりのシルエット

反抗期への対応がかみ合わないとき、その奥にあるのは「自分自身の10代がどういうものだったか」という体験の違いだ。

自分が反抗期に厳しく管理された経験を持つ人は、二つの方向に分かれやすい。「自分もそうやって育てられたから、それでいい」と厳しめの対応になる場合と、「あのときは苦しかった、だから子どもには自由にさせたい」と反転する場合だ。どちらも自分の体験を基にしている。

自分の反抗期が親に受け入れられた経験を持つ人は、「子どもの気持ちを受け止めることが大事」という確信を持ちやすい。それが自分の体験として機能しているからだ。

自分自身が「反抗期らしい反抗期がなかった」という人は、子どもの反抗的な態度に対して戸惑いを感じやすい。「なぜそんな態度を取るのか、意味がわからない」という感覚になる。理解しようとしているが、自分のリファレンスに近いものがない。

ふたりが全く違う思春期を過ごしてきていたとすれば、「反抗期とはどういうものか」「どう対応すべきか」の感覚が最初から異なっていてもおかしくない。違いは育て方の哲学の差ではなく、体験した事実の差だ。

対応が固定化する前に起きること

夫婦の対応の差が続くと、子どもがそれを利用し始めることがある——意図的ではなく、自然に。

「お父さんに言えばやってもらえる」「お母さんには言っても怒られるだけ」という使い分けが生まれると、子どもは一方の親に近づき、もう一方を避けるようになる。遠ざかった側の親は「自分には懐いていない」と感じ、関わりが薄くなる。近づいた側の親は全部引き受けるようになり、消耗する。ふたりの立場の差がさらに開いていく。

子どもにとっても、親のどちらかが「逃げ場」になりすぎると、問題の整理が内側でできにくくなる。反抗期は、親から切り離れていくプロセスとして機能する面がある。どちらの親も「安心して反発できる存在」であることが、子どもの自立にとって本来の意味では必要だ。

ふたりがまず話すこと

子どもの反抗期に入る前後に、「自分自身の反抗期はどうだったか」を話してみることが、対応を揃える上で意外に効く。

「自分はどんな感じだったか」「親からどう扱われたか」「それはよかったと思うか、嫌だったか」——これを話すと、相手が「なぜそういう対応をしようとするか」の背景が見えてくる。「自分がされたことをそのまま繰り返そうとしている」「自分がされて嫌だったことを避けようとしている」、どちらであっても、体験の話を共有することで、お互いの対応の意図が伝わりやすくなる。

反抗期への対応は、正解がひとつではない。ただ、ふたりの対応がばらばらであるより、「うちはこういう方針でいこう」という共通の方向性があった方が、子どもにとっても安定した環境になる。方針を決めることより先に、ふたりがそれぞれの10代の話を持ち寄ることが、その最初の入り口になる。

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