自己肯定感褒め方夫婦の関わり方子どもの自信

子どもに自信をつけさせたいのに、夫婦の関わり方が逆に働いていることがある

「もっと褒めて」「甘やかすな」の対立は、自己肯定感への理解の差から来ている。ふたりの関わりがちぐはぐなまま続くと、子どもが受け取るメッセージが混乱する。

2026-07-24

ひとりで座る子ども

「もっと褒めてあげて、自信をなくしてしまうから」「褒めすぎると謙虚さがなくなる、それでいいのか」——子どもへの関わり方をめぐって、こういう言い合いになる家庭は少なくない。

どちらも子どもへの愛情から来ている。なのに、ふたりの方向が全く逆になる。そしてその間で、子どもは「頑張れば褒めてもらえる」「謙虚でなければいけない」という二つのメッセージを同時に受け取り続ける。

日本の子どもの自己肯定感は低い

自己肯定感の国際比較を見ると、日本の子ども・若者の位置はかなり厳しい。

内閣府「子ども・若者白書」が引用する国際比較調査では、若者(13〜29歳)を対象に7カ国で「自分自身に満足している」かを聞いたところ、日本は45.1%で最低水準だった。米国(86.9%)、フランス(85.8%)、ドイツ(81.8%)など他の先進国と比べて、自分自身への満足感を持っている若者の割合が著しく低い。

この差を「文化の違い」だけで説明しきれない。「謙虚さが美徳」という文化的背景がある一方で、自分への肯定感が低いことで、挑戦を避ける、失敗を引きずる、他者の評価に過敏になるという影響も確認されている。「謙虚でありながら自信を持つ」は矛盾しない。ただ、そのバランスを取るのは難しく、親の関わり方が大きく影響する。

「褒める」と「謙虚さを教える」は対立しない

「自己肯定感を育てる」と聞くと、「とにかく褒める」だと思われやすい。一方で「褒めすぎると天狗になる」「結果を出してから認めるべきだ」という考えもある。この二つの立場が夫婦でぶつかると、関わり方の方針が定まらなくなる。

ただ、この対立は多くの場合、「自己肯定感とは何か」についての理解の差から生まれている。

自己肯定感は「何をやっても褒めてもらえる感覚」ではない。「失敗しても自分の価値は変わらない」という基盤となる感覚だ。結果ではなく、存在そのものを受け入れてもらえた経験の積み重ねが、この基盤を作る。

つまり「褒める」の中身が問題になる。「100点取ってすごい」という結果への評価より、「諦めずに取り組んでいたね」「難しいと感じながらも続けていたね」という過程への注目の方が、自己肯定感の根として機能しやすい。「褒めるかどうか」ではなく「何を見ているか」が焦点だ。


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関わり方がちぐはぐなまま続くとき

子どもが打ち明けるシーン

ふたりの関わり方が全く逆の方向を向いているとき、子どもは混乱する。

一方の親からは「よく頑張ったね」と言われ、もう一方からは「でも次はもっとできるでしょ」と返される。子どもがこの二つのメッセージを同時に受け取り続けると、「何をすれば認められるのか」の基準が定まらなくなる。頑張っても確信が持てない、褒められても「次はどうせ」と思う——そういう感覚が積み重なっていく。

もうひとつ起きやすいのは、子どもが「どちらに何を言えばいいか」を学習することだ。「失敗したことはこっちには言わない」「頑張ったことはあっちに話せば喜んでもらえる」という使い分けが生まれる。これは子どもの適応能力の表れではあるが、大人に本当のことを話しにくくなる方向に向かいやすい。

ふたりで揃えることの意味

子どもの自己肯定感に関わる家庭環境として研究上確認されていることは、「一貫性」と「安心感」だ。子どもにとって予測できる環境——「こういうことをすれば、こう反応してもらえる」という経験が積み重なる環境——が、自分への信頼の土台を作る。

ふたりの関わり方を完全に統一する必要はない。親もそれぞれ個性があり、子どもは複数の大人と関わりながら育つ。ただ、基盤になるメッセージの方向が逆を向いていないかを確認することは意味がある。

「結果ではなく過程を認める」「失敗を責めるより、次どうするかを一緒に考える」「難しいと感じているときに、難しいと言える環境を作る」——これらは「どちらが厳しく、どちらが甘いか」の話ではなく、子どもが自分の感覚を否定せずにいられる環境を作るための方向性だ。

自分たちの関わりを振り返る入り口

「自己肯定感を育てる関わり方ができているか」を自己評価するのは難しい。意図せず子どもを傷つけていることもあれば、何気ない一言が子どもの支えになっていることもある。

確認しやすいのは、「子どもが失敗したとき、ふたりはどう反応しているか」だ。叱る、慰める、原因を一緒に考える、何も言わない——それぞれの反応の傾向を話すだけで、方向性の違いが見えてくることがある。

子どもへの声かけを変えることより先に、ふたりが「子どもに何を育てたいか」について話すことが、関わり方を揃える最初の一歩になる。

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