子どもの睡眠就寝時間生活リズム夫婦で決める

子どもを何時に寝かせる?年齢別の推奨睡眠時間と夫婦での決め方

小学生の推奨睡眠時間は9〜12時間なのに、実態の平均は8時間56分。就寝時間をめぐる夫婦のすれ違いは珍しくありません。厚生労働省のガイドをもとに、年齢別の目安と夫婦で納得できる就寝ルールの作り方を解説します。

2026-07-09

「もう寝る時間だよ」「えー、まだ9時じゃん」「でもお父さんは10時まで起きてていいって言った」——こんな会話に身に覚えはありませんか。就寝時間をめぐる子どもとのやり取りの裏に、実は夫婦の基準のズレが潜んでいることは少なくありません。

厚生労働省が2023年に改訂した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、小学生の推奨睡眠時間は9〜12時間とされています。しかし博報堂教育財団の調査(2025年3月)によると、小学生の平均睡眠時間は8時間56分、平均就寝時間は21時46分と、推奨値をわずかに下回っている実態が明らかになっています。

この記事では、なぜ就寝時間をめぐって夫婦にズレが生まれるのかを整理したうえで、年齢別の推奨時間と、ふたりが納得できる就寝ルールを作るための具体的なステップをお伝えします。

なぜ就寝時間をめぐって夫婦のズレが起きるのか

共通の基準がないまま「感覚」で対応してしまう

「早く寝かせたほうがいい」とはなんとなくわかっている。でも「何時まで」という具体的な根拠がないまま、それぞれの直感で対応してしまう——これが就寝時間のすれ違いの最も多いパターンです。

片方が「9時には絶対消灯」と考え、もう片方が「たまには10時過ぎても大丈夫でしょ」と思っている。子どもはその隙間を敏感に察知して、ゆるい方に流れていきます。結果として「どっちが正しいの?」という話になり、子どもの前で親の意見が割れる状況が生まれます。

この「感覚のズレ」が厄介なのは、どちらも子どもを思っての判断であるという点です。厳しくする側は「睡眠不足が心配」、ゆるくする側は「子どもをもっと自由にさせてあげたい」という気持ちから来ている。お互いの善意がぶつかっているだけに、話し合うきっかけもつかみにくいのです。

自分の幼少期の体験が基準になっている

もうひとつよく見られるのが、「自分もそうだったから」という無意識の基準です。夜型の家庭で育った親は「10時就寝でも問題なかった」という実感を持ちやすく、朝型の家庭で育った親は「9時には寝かせるべき」という感覚を持ちやすい。

夫:「俺、子どもの頃11時まで起きてたけど普通に育ったよ?」

妻:「それとこれとは話が違う。今は睡眠の研究も進んでるんだから」

こんなやり取り、思い当たりませんか? どちらも「体験から来る確信」なので、感情的になりやすいのです。

どちらかが正しくてどちらかが間違っている、という話ではありません。ただ、個人の体験はサンプル数がひとつ。客観的なデータを共通の出発点にすることで、感情論を避けやすくなります。

子どもへの影響・放置するリスク

文部科学省が実施した「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査(平成26年度)」では、全学年の約9割の子どもに何らかの睡眠不足の傾向がみられると報告されています。睡眠不足が続くと、授業中の眠気・感情の不安定・集中力や記憶力の低下が起きやすくなります。

さらに長期的には、成長ホルモンの分泌(主に深い睡眠中に行われる)にも影響が出るとされています。成長ホルモンは骨や筋肉の発達だけでなく、免疫機能の維持にも関わっており、「少しくらい大丈夫」と放置することのリスクは決して小さくありません。

子どもが「眠くない」と言っていても、それが慢性的な睡眠不足に慣れた状態である可能性も考える必要があります。睡眠研究では、睡眠不足に慣れると「眠い」という自覚症状が薄れることがわかっています。元気そうに見えるからといって、睡眠が足りているとは限らないのです。

専門家・データが示す年齢別の推奨睡眠時間

年齢別の基準と実態

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、こどもの年齢別推奨睡眠時間が以下のように定められています。

| 年齢 | 推奨睡眠時間 | 理想の就寝時間(7時起床の場合) | |------|------------|-------------------------------| | 1〜2歳 | 11〜14時間(昼寝含む) | 19:00〜20:00 | | 3〜5歳 | 10〜13時間(昼寝含む) | 19:30〜21:00 | | 小学生(6〜12歳) | 9〜12時間 | 19:00〜22:00 | | 中学・高校生 | 8〜12時間 | 19:00〜23:00 |

※就寝時間は起床時間から推奨睡眠の下限を引いた目安。朝6時起きなら1時間前倒しで考える。

実態はどうかというと、西川「睡眠白書2024」によれば、平日の睡眠が適正時間に届いていない割合は**小学生で約40%、中学生で約50%、高校生では約80%**にのぼります。特に高学年になるほどギャップが広がる傾向があり、「小学校の低学年のうちに生活リズムをつくっておく」ことの重要性がわかります。

よくある誤解

「眠れているなら時間は関係ない」は本当?

「うちの子は短くても元気だから大丈夫」という声をよく聞きます。しかし前述の通り、睡眠不足に慣れると自覚症状が薄れます。本人が元気そうに見えても、集中力や記憶の定着に影響が出ている場合があります。「機嫌がいい=十分眠れている」は必ずしも正確ではありません。

「週末に寝溜めすればいい」は逆効果

週末に長時間寝て帳尻を合わせようとすると、月曜日の朝に「社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)」が起きやすくなります。体内時計がずれることで、月曜日の午前中に眠気・不調が集中し、「月曜の朝が辛い」という状態が生まれます。平日と週末の就寝時間の差は1時間以内に抑えることが望ましいとされています。

夫婦で就寝時間を決める3つのステップ

STEP1:「推奨時間」を共有の出発点にする

まず、厚生労働省の推奨値(上の表)をふたりで確認することから始めます。「あなたが厳しすぎる」「あなたが甘すぎる」という話ではなく、「専門家はこう言っている」という共通の地図を持つことで、議論が感情論になりにくくなります。

子どもの起床時間から逆算して「何時に寝かせれば推奨時間を確保できるか」を計算します。朝7時起きの小学生なら、推奨の下限9時間を確保するには22時就寝が目標です。朝6時半なら21時半になります。

この計算をふたりで一緒にやることが重要です。「専門家がそう言っているから」ではなく、「自分たちの子どもの場合はこうなる」と具体的に落とし込む作業が、お互いの納得感につながります。

STEP2:平日・週末・例外日のルールを分けて決める

「毎日21時」という一律のルールは厳しくなりがちで、一度でも守れないと「もういいか」という気持ちが生まれます。現実的には以下のように分けると、長続きしやすくなります。

  • 平日:就寝時間を固定し、就寝30分前にはテレビ・スマホをオフ
  • 週末:平日より30分〜1時間の猶予(「寝溜め」ではなく「少しゆとり」として設定)
  • 例外日(旅行・祝日・特別なイベント):あらかじめ「今日は特別」と子どもに伝える

ポイントは「例外を事前にルール化する」こと。「今日は特別だから遅くていい」という言葉は子どもに響きやすいですが、毎週末それが続くと例外が常態化します。あらかじめ「旅行の日だけ特別」と決めておくことで、子どもも気持ちの切り替えがしやすくなります。

STEP3:「就寝1時間前のルーティン」をふたりで共有する

就寝時間を守るために最も効果的なのが、寝る1時間前からのルーティンを固定することです。大切なのは、どちらが対応しても同じ流れになること。片方だけが毎晩頑張る構造では、担当が変わったとたんにルーティンが崩れます。

例えば小学生の場合:

  • 21:00 お風呂終了・スマホ・テレビオフ
  • 21:15 歯磨き・着替え
  • 21:30 読み聞かせまたは静かな時間(本・音楽・会話)
  • 22:00 消灯

ルーティンがあると、子どもも「次は何をする時間か」が予測でき、「もうちょっとだけ」の交渉が減ります。入眠しやすくなるという効果も研究で確認されており、「早く寝かせる」という圧力ではなく「自然に眠れる環境を整える」というアプローチになります。


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よくある「うまくいかない」パターンと対処法

パターン1:遅く帰宅した側がルーティンを崩してしまう

仕事で遅く帰った親が「久しぶりだから少し遊ぼう」と言い、ルーティンが崩れてしまう——このパターンは多くの家庭に共通します。悪意はなく、むしろ子どもを想っての行動だけに、もう一方も注意しにくい。責めるにも責めにくい状況が積み重なっていきます。

対処法:帰宅が遅い日は「ルーティンには入らない」とあらかじめ決めておきます。その代わり、翌朝少し早起きして一緒に朝食を食べる・登校前に会話の時間を作るなど、別の形でコミュニケーションを取ります。「今日は特別」を毎日繰り返さないことが、ルーティンを守り続けるための大切な線引きです。

パターン2:子どもが「眠くない」と言い張る

「眠くないのに寝かせるのはかわいそう」と感じる親は少なくありません。しかし睡眠研究では、眠くなる前に布団に入る習慣が睡眠の質を高めるとされています。眠気を感じてから布団に入ろうとすると、就寝時間が後ろにずれ続けます。

対処法:「眠くなくても横になる時間」として設定し、読み聞かせや静かな音楽を使って自然に眠くなる環境を整えます。「寝なさい」と命令するより、安心できる空間と親との穏やかな時間が、自然な入眠を促します。就寝前の親との会話が「今日の締めくくり」になると、子どもも切り替えやすくなります。

パターン3:高学年になると反発が強くなる

低学年のうちは素直に従っていた子が、4〜5年生頃から「もう子どもじゃない」と反発し始めることがあります。このタイミングで就寝ルールが崩れ、そのまま夜型になっていく家庭は少なくありません。

対処法:ルールを一方的に押しつけるのではなく、「何時に寝れば次の日元気でいられると思う?」と子どもを決定プロセスに巻き込みます。自分で決めたルールは守られやすく、睡眠の大切さを自分ごととして考える力にもつながります。親が決めたルールへの反抗ではなく、自分で決めたルールを守るという経験は、自己管理能力の育成にもなります。

よくある質問

Q. 小学生の就寝時間は何時が正解ですか?

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では小学生の推奨睡眠時間は9〜12時間です。朝7時起きなら22時、朝6時半起きなら21時半が目安になります。博報堂教育財団の2025年調査では、小学生の平均就寝時間は21時46分でした。まずこの目安と子どもの実態を照らし合わせることから始めてみてください。

Q. 夫(妻)が就寝ルールを守ってくれません。どうすれば?

「守れない理由を責める」より「守りやすい設計に変える」ことが先決です。ルールが複雑すぎる・例外が多すぎる・片方だけに負担がかかっているのいずれかが原因であることが多いです。まず「平日だけ・寝る30分前のスマホオフ」など、最小限の1ルールから始めてみましょう。

Q. 就寝時間のために子どものスマホを取り上げてもいいですか?

就寝1時間前のスマホ・タブレット使用が睡眠の質に影響するという研究は複数あります。「取り上げる」よりも「寝室には持ち込まず、リビングに置いてくる」というルールにするほうが子どもも受け入れやすい傾向があります。いこーよ総研の調査(2024年5月)では、小学生の31%・中学生の56%が就寝時に電子端末を布団に持ち込んでいると報告されており、置き場所を決めるだけで改善するケースも多くあります。

Q. 週末だけ遅くなっても大丈夫ですか?

週末の「寝溜め」は社会的時差ぼけを引き起こしやすく、月曜日に起きられない・午前中の集中力が落ちるという状態につながります。週末の就寝は平日より30分〜1時間程度の範囲に収めるのが理想です。

Q. 就寝ルールを話し合うタイミングはいつがいいですか?

子どもが寝た後の静かな時間が最適です。「今夜のこと」として話すと感情的になりやすいので、「来月からのルール」として落ち着いた状態で話すのがおすすめです。月に1回、「最近ちゃんと寝られてる?」と軽くチェックする機会を設けるだけで、少しずつズレを修正できます。

まとめ

  • 厚生労働省の推奨では小学生は9〜12時間の睡眠が必要。実態の平均(8時間56分)はわずかに届いていない
  • 就寝時間は「感覚」ではなく「データ」を起点にふたりで合わせると、感情論になりにくい
  • 平日・週末・例外日を分けて、どちらが対応しても同じ動きができるルーティンを作ることが継続のカギ

子どもの睡眠に悩んでいるなら、まず夫婦でこの記事を読んで「今の就寝時間が推奨範囲に入っているか」を一緒に確認することから始めてみてください。


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