子どもの進路将来の夢親の関わり方夫婦の価値観

子どもに「将来の夢は何?」と聞くのは、逆効果かもしれない

「夢を持て」「なりたいものになれ」という言葉が子どもを追い詰めている。親の関わり方と夫婦の価値観のズレが子どもの進路にどう影響するか、データをもとに考えます。

2026-07-17

「将来の夢を持て」「なりたいものに向かって頑張れ」——子どもへのこうした言葉は、親からの愛情として自然に出てくる。夢を後押しすることが親の役割だと多くの人が思っている。

ところがベネッセ教育総合研究所の分析(2024年)は、「やりたいことを問うと、子どもをより追い詰めることになりかねない」と指摘している。子どもたちは大人の期待に応えようと真剣に考えており、「夢は何?」という問いそのものが圧力になっている、というのだ。

「夢を持て」と言い続けることが、夢を持てない子どもを作っている可能性がある。

「応援している」つもりのとき、子どもに何が起きているか

進路を決める時期の子どもを持つ保護者への調査(マイナビ進学総研、2024年)では、約8割以上の親が子どもの進路に対して意見を言うと回答している。「子どもの意見を尊重しながら、親も意見を言う」というスタンスが最も多く、約6割だった。

つまり、ほとんどの親は子どもの進路に関わっている。「口出しをしない」という親は実際には少数派だ。問題は口出しするかどうかではなく、どう関わるかにある。

子どもが「医者になりたい」と言ったとき、「いいね、頑張って」と応じる親は多い。だがその後、成績が伸びなかったとき、別の夢を持ち始めたとき、「あれだけ言ったのに」という言葉にならない期待が家庭の空気を作る。夢を応援することが、夢への縛りになっていく。

「夢を自分で決めなさい」という矛盾

リクルートと全国高等学校PTA連合会の合同調査「高校生と保護者の進路に関する意識調査2023」では、高校生が進路を決める際に最も相談する相手として「親」が上位に挙がっている。子どもは親の意向を強く意識しながら進路を考えている。

これは「親の言うことを聞く子ども」ということではない。親の期待を読み取って、それに応えようとするのが多くの子どもの自然な反応だ。「あなたはどうしたい?」と聞かれても、親が内心何を望んでいるかを子どもはすでに感じ取っている。

「夢を自分で決めなさい」と言いながら、親の期待を無意識に伝えてしまう——この矛盾の中で、子どもは「正しい夢」を探し始める。そうなると、夢は自分のものではなく、親の承認を得るためのものになっていく。


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問いの形を変える

「夢を持て」の代わりに何ができるか。共通するのは「問いの形を変える」ことだ。

「将来の夢は何?」ではなく「最近どんなことが楽しかった?」。「どんな仕事をしたい?」ではなく「どんな人と一緒に働きたい?」「どんな生活をしたい?」——夢という大きな問いを、今の生活と地続きな問いに変えることで、子どもは答えを探しやすくなる。夢を決めさせるのではなく、自分の感覚を言葉にする練習をさせることが目的だ。

もう一つ大切なのが、夫婦でこのスタンスを揃えることだ。父親は「なんでもなりたいものになれ」と言い、母親は「安定した仕事の方がいい」と思っている——そのズレが子どもに伝わると、どちらの期待に応えればいいかわからなくなる。

子どもの将来に関わるとき、子どもに何を期待するかよりも先に、夫婦がどんな価値観を持って関わるかをすり合わせておく必要がある。それがないまま「子どもの夢を応援しよう」と言っても、実態はふたりがバラバラな方向から圧力をかけているだけになりかねない。

夢への口出しをやめることが答えではない。口出しの前に、ふたりで話し合うことが先だ。


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