きょうだい上の子兄弟姉妹夫婦の方針

きょうだいを平等に扱うつもりが、上の子だけを損させている

「きょうだいは公平に」と意識しているのに、長子の53%以上が「我慢を強要された」と感じている。上の子に不満が積まれる構造と、夫婦で揃えておくべき前提を整理する。

2026-07-23

並んで歩くきょうだい

「きょうだいは平等に」——そう意識している親は多い。どちらかを贔屓にしないよう、できるだけ同じように接しようとする。

しかしこの「平等」の意識が、むしろ上の子に不満を積ませやすい構造を生んでいることがある。

合同会社serendipityが2022年に実施した調査(20〜50代男女2,998人対象)によると、長子の53.2%が「きょうだいに対して親が甘かった」と感じ、54.9%が「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だからと我慢を強要された」と答えている。

親が「平等のつもりで」接した結果、上の子が不公平を感じているという現実だ。

「お兄ちゃんでしょ」が積み上げるもの

きょうだいがいる家庭で、上の子が損をしやすい最大の原因は「生まれ順への役割の押し付け」にある。

「お兄ちゃんでしょ」「お姉ちゃんなんだから」——この言葉は、子どもに「自分は我慢する側だ」という役割を刷り込む。下の子のおもちゃに手を出したとき、きょうだいの前でぐずったとき、親は無意識に「上の子の方が年上だから折れるべき」という判断をしやすい。

一回一回の場面では些細なことでも、それが積み重なると上の子の中に「自分は損をさせられている」という感覚が育ちやすい。この感覚は、成人してからも残ることがある。前述の調査では、長子は成人後でも親への不満として「弟・妹の方が甘やかされていた」を挙げる割合が最も高い。

「下の子は小さいから仕方ない」という親の合理化

親の目線では、「下の子が小さいから」という理由は明確で合理的に見える。赤ちゃんは泣けば抱っこする。まだ意思疎通が難しいから、上の子に待ってもらう。理解できるかどうかは、上の子の年齢や成熟度で違うけれど、「あなたの方が大きいから待てる」という論理は親の中で成立しやすい。

しかし上の子の感覚はそうではない。「わかってる。でも、やっぱり悔しい」——そのどうしようもない感情に、「お兄ちゃんでしょ」という言葉は蓋をする。

下の子が小さいうちは、手がかかること自体は避けられない。問題は、そこに「だから上の子が我慢して当然」という言葉を乗せるかどうかにある。手がかかる現実は変えられなくても、その説明の仕方は変えられる。


きょうだいへの接し方、ふたりで方針を揃えていますか? ふたりごとには、育児・教育・お金・将来など400問以上の質問を週1回ふたりに届けます。それぞれが答えて、金曜に答え合わせをします。

ふたりで答えてみる


生まれ順が性格を決めるという思い込み

個性豊かなきょうだいのふたり

「長子はしっかりしている」「末っ子は甘えん坊」という感覚は、多くの親が持っている。心理学者アドラーが20世紀初頭に提唱したきょうだい理論がその起源で、長子は神経質・保守的、次子は目立ちたがり、末子は甘やかされた怠け者、とされた。

しかし現代の研究では、この理論はほぼ否定されている。ヒューストン大学が2015年に米国の高校生44万人以上を対象に行った大規模調査では、生まれ順と性格特性の関連性は「限りなくゼロに近い」と結論づけられた(日本経済新聞、2024年6月報道)。

それでも親は「上の子はしっかりしているから大丈夫」「下の子はまだ甘えたい年頃」という先入観を持ちやすい。この先入観が「だから上の子が譲るべき」という判断に直結すると、上の子は「自分だけが損をしている」と感じやすくなる。

実際の子どもは生まれ順より個人差の方が大きい。「上の子だから」という前提でなく、今この子がどんな状態かを見ることが、きょうだい育児の基点になる。

夫婦でズレやすい場面

きょうだいへの接し方で夫婦の感覚がすれ違いやすいのは、各自の「きょうだい経験」が異なるからだ。

長子として育った親は「上の子が我慢するのは自然なこと」と無意識に感じていることがある。自分もそうしてきたし、それで育ったという実感がある。一方で末子や一人っ子として育った親には、その感覚がなかったり、逆に「上の子の気持ちがわかるからこそ、うちでは繰り返したくない」という強い意識があったりする。

夫:「上の子だから多少は我慢してもらう場面があってもいい。それが成長だ」
妻:「私も長女で散々そういう思いをしてきた。だから同じことはしたくない」

この会話のすれ違いは、どちらが間違っているわけではない。自分の育ちから来る判断基準が、そのままわが子への接し方に反映されている。

子どもが生まれてから「きょうだいの扱い」でもめる夫婦の多くは、このズレに気づいていない。どちらが正しいかを決める前に、「自分はどんなきょうだい関係の中で育ったか」をふたりで話したことがあるかどうかが問われる。

揃えておくべき前提

「きょうだいは平等に」という目標は正しいが、「平等」の意味を揃えておく必要がある。

「同じように扱う」ではなく「それぞれに必要なものを与える」

同じおやつ、同じ量のルール、同じ時間の注目——これを「平等」と定義すると、どこかで無理が出る。下の子が生まれたての頃は授乳や抱っこが多くなり、上の子が「自分だけ後回し」と感じやすい。この時期に「親がそれぞれの子に向き合う時間」を意識的に作る方が、長期的な意味での平等に近づく。

「お兄ちゃん・お姉ちゃんだから」を理由にしない

上の子に何かを頼んだり、下の子のために待ってもらうとき、「生まれ順」を理由にしない方がいい。「今日は下の子が調子悪くてパパ取られちゃって、待っててくれてありがとう」と言える関係の方が、上の子には伝わりやすい。

きょうだいの問題にすぐ介入しない

きょうだいげんかは、子どもが感情を調整する練習の場でもある。親がすぐに介入して白黒をつけると、上の子の「自分だけ叱られる」という感覚を強化しやすい。何度も繰り返す激しいものでなければ、少し様子を見てから話すという習慣が、きょうだい関係をよくする。

きょうだいを持つことは、子どもにとって無条件に豊かな経験だが、それは「平等に扱われている」という感覚が土台にあるときに成立する。その土台を作るのは、上の子を損させない意識と、夫婦で揃えた前提だ。


この記事のテーマ、夫婦で話し合ってみませんか?

ふたりごとには週1回、子育てトピックについてお互いの考えを確認できます。

ふたりごとにを試してみる