子どものゲームがやめられなくなる前に、夫婦で知っておくべきことがある
WHOがゲーム障害を国際疾病分類に加えた。「やめなさい」が効かなくなる前に、ふたりで依存の仕組みと早期サインを共有しておくことが必要だ。
2026-07-24

「ゲームをやめなさい」と言っても聞かない。声をかけるたびに機嫌が悪くなる。ゲームをしていない時間もそのことばかり考えている——「これは普通の子どもの様子なのか、それとも何かサインなのか」と感じ始めたとき、ふたりの受け止め方が全く違うことがある。
「大げさだよ、子どもはみんなそんなもの」「いや、このままにしておいていいのか」——どちらも根拠があるように感じられるまま、対応が決まらない。
WHOが「疾病」と認定したという現実
ゲームへの過度な関与が医学的な問題として認識されるようになったのは、比較的最近のことだ。
世界保健機関(WHO)は2019年、「ゲーム障害(Gaming Disorder)」を国際疾病分類(ICD-11)に追加した。定義は「ゲームのコントロールができない」「ゲームを日常生活・学業・睡眠より優先してしまう」「悪影響が出ていても続ける」という状態が12か月以上続くこととされている。
ただし、これは「ゲームをすること」が疾病なのではなく、「ゲームが生活を支配する状態」が問題とされている。ほとんどのゲームユーザーは該当しない。重要なのは、「やめられない」「生活に支障が出ている」という段階の兆候を早めに把握することだ。
「依存」と「好き」の境界線
子どもがゲームを好きで熱中していることと、依存的な状態になっていることの違いは、いくつかの観点から確認できる。
コントロールが効くかどうか。「今日は30分」と決めたルールを、本人がある程度守れるか。ルールを超えることが毎回になっていて、激しく抵抗するようになっていれば、コントロールの困難さのサインかもしれない。
ゲームをしていない時間の様子。ゲームをしていない時間に、常にゲームのことを考えている、不機嫌・イライラしている、他のことに全く関心が向かない——という状態が続くと、生活全体がゲーム中心になっているサインになりえる。
睡眠・学業・友人関係への影響。ゲームのために睡眠を削る、学校の成績や宿題への影響が出ている、リアルの友人との関係が薄れている——こうした「他の生活領域への影響」が出始めているかどうかが、重要な判断軸になる。
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なぜ夫婦の対応がすれ違うのか

ゲームへの過度な関与について、夫婦の対応がすれ違いやすい構造がある。
まず「見ている場面の差」だ。子どもがゲームをしている時間帯に、どちらが一緒にいることが多いか。長くいる方が問題の積み重なりを実感しやすく、あまりいない方には「たまにゲームしてるくらいでは?」という感覚になりやすい。
次に「ゲームへの見方の差」だ。自分がゲームをしてきた世代か、そうでないかで、ゲームへの許容度が変わる。「ゲームをするのは当然」という感覚がある方と、「ゲームはできれば避けてほしい」という感覚がある方では、問題のラインが全く違う。
そして「問題認識の閾値の差」だ。「やめられなくなっている」という認識は、主観的な部分が大きい。どこからが「普通」でどこからが「問題」かの感覚がふたりで揃っていないと、同じ子どもの様子を見て全く異なる評価をすることになる。
「今の状態」をふたりで観察する
ゲームへの対応について話し合う前に、「今の子どもの状態」をふたりが共通して観察することが有効だ。
「今週、ゲームを何時間しているか」「ゲームをやめるとき、どういう反応をしているか」「最近の睡眠・学校の様子はどうか」——これを一方の観察だけでなく、ふたりがそれぞれ観察した内容を出し合うことで、見えていなかった側面が共有される。
そこから「今のままでいいか、何か変える必要があるか」を話すと、「ゲームが好きなだけ vs 依存が始まっている」という感覚の対立より、具体的な状態の話として進めやすくなる。
ルールを変える必要があると判断したなら、「ゲームを取り上げる」より「なぜ今のルールでは問題が出ているか」を子ども本人に説明し、一緒に新しいルールを考える形の方が、本人の納得感が得られやすい。強制より合意で作ったルールの方が、長く続きやすい。